家庭やオフィスで、「ブレーカーが上がらない」と焦ることはあると思います。また、上がったけど「すぐにまたブレーカーが落ちる!」といった状況もあると思います。
ブレーカーが落ちる原因を理解していないと同じことを繰り返すことになります。
本記事では、ブレーカーが上がらない主な原因と、それに対する対処方法について考察を交えながら詳しく解説します。様々な要素がブレーカーの動作に影響を与えるので、ブレーカーの問題を素早く解決するためのヒントを得ることができます。
どのブレーカーが上がらないかが重要
ブレーカーが上がらない場合、まず確認すべきは「どのブレーカーが上がらないか」です。以下の写真は、一般的な分電盤のブレーカーの種類です。
左から、アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーという3種類のブレーカーがついています。これはそれぞれ役割があり、「どのブレーカーが上がらないのか」が重要です。
ここから、各ブレーカーが上がらない場合の原因を考察していきます。
アンペアブレーカー
アンペアブレーカーが上がらない場合は、家全体の電気を使いすぎているか、ブレーカーが故障している場合が考えられます。
アンペアブレーカーの役割は、電力会社と契約しているアンペア(A)数を超えると落ちるブレーカーです。つまり、契約電流以上を一気に使うとブレーカーが落ちる仕組みになっています。
例えば、以下の状況は落ちる可能性高いです。
- エアコンを同時に複数台使った→エアコンの立ち上がりは、電力を多く使うので、複数台使う場合は時間を少しずらして使用すること大事。
- 電気ヒーターを数台使った→電力を多く使う家電なので、使用時は電力をどのくらい使用するのか確認
- IHクッキングヒーター・電気ケトル・電子レンジ・オーブン・浴室乾燥機・床暖房・エアコン・電気ヒーター・電気自動車の充電中など大電力を使用する機器が同時に稼働している→オール電化のお宅は、特に注意が必要です。基本的に、熱を発する家電は電力を多く使いますので、使い方の工夫が必要
このように、アンペアブレーカーが落ちる場合は、電気の使いすぎが原因です。そして、上がらない場合は、家電の電源をつけたままブレーカーを上げているからかもしれません。
つまり、ブレーカーを上げた途端にすぐ落ちる状況です。この場合は、家電のコンセントを抜いたり、しっかり電源が切れていることを確認して、家電の使用を減らしましょう。
この状況でない場合は、ブレーカー自体が故障して上がらない可能性が高いです。電気業者を呼んでブレーカー交換が必要です。
また、最近はアンペアブレーカーがそもそもついていないことが多いです。スマートメーターという電気メーターで電流を制御しています。つまり、アンペアブレーカーの役割が「スマートメーターに置き換われた」ということです。
そのため、ブレーカーが落ちていないのに停電している場合は、電力会社に電気を止められています。止められる条件としては以下のことが考えられます。
- 契約電流以上使ってしまった→停電後2〜3分で勝手に復旧します。
- 地域全体で停電した→電力会社のサイトで停電情報を確認しましょう。
- 電気料金を払っていない→うっかり忘れている可能性があります。確認しましょう。
このように、さまざまな状況が考えられますが、アンペアブレーカーが上がらない場合は、電気の使いすぎが原因であることが多いです。そして、アンペアブレーカーがない場合は、スマートメーターで管理されてます。
頻繁にブレーカーが落ちる場合は、電気の容量を上げることをおすすめします。各地域で担当している電力会社は違いますが、ここでは東京電力の料金プランを紹介します。
漏電ブレーカー
漏電ブレーカーが上がらない場合は、どこかの回路で漏電しているか、ブレーカーが故障している場合が考えられます。
漏電ブレーカーは、その名の通り電気の漏れを検知してショートや感電を防止する役割があります。もし漏電ブレーカーが上がらない場合、配線や電気機器に漏れ電流が発生している可能性があります。
ここが上がらないと家全体が停電状態になります。それでは困りますね。
そのため、どこの回路が漏電しているか調べて、その他の回路を使える状況にする方法があります。以下のやり方で、確認してください。
- 漏電ブレーカーが落ちているのを確認
- 安全ブレーカーも全て落とす
- 漏電ブレーカー、安全ブレーカーの両方とも落ちていることを確認
- 漏電ブレーカーをあげ、安全ブレーカーを一つずつ上げる
- 安全ブレーカーを上げた際に、漏電ブレーカーが落ちたらその回路が怪しいので、その安全ブレーカーは落としたままにする。
- この要領で漏電している回路を特定して、その回路以外はブレーカーを上げる。
この手順で確認してみてください。
一つ注意点としては、漏電ブレーカーが落ちた際に、レバーが中間で止まっている場合があります。この状態だとブレーカーを上げることができないので、一度完全に下まで下げてください。
その後、レバーを上に上げてください。
また、この手順をやったが全てブレーカーが上がることもあります。その場合は、ある条件(雨が降っている、家電を使った時)にブレーカーが落ちることも考えられます。また、漏電ブレーカーの故障の可能性もあります。
どしらにしろ、電気業者に見てもらうことが必要です。
このように、漏電ブレーカーが上がらない場合は、漏電しているか、ブレーカーが故障している場合が考えられます。電気業者にチェックしてもらいましょう。
安全ブレーカー
安全ブレーカーが上がらない場合は、電気の使いすぎか短絡(ショート)かブレーカーの故障が考えられます。
安全ブレーカーが落ちる場合は、キッチンだけ・リビングだけといったように、限定的に停電します。基本的には、その回路で「電気を使いすぎた」という原因が多いです。
一般的には、各回路は20Aまでとなっていますので、電子レンジ・オーブン・電気ケトルなどのW数が大きい家電を同時に使って「キッチンの電気が落ちた」ということはよくあります。
また、コンセントに何か詰まっていて電気がショートし、安全ブレーカーが落ちたということもあります。
特に、トラッキング現象が起きると危険です。
トラッキング現象とは、コンセントとプラグの隙間にほこりがたまり、湿気を吸収することで、電気の通り道ができます。そのことで、電気がショートし発火する現象のことです。
このような場合は、危険ですのでコンセントの交換が必要です。定期的に、コンセントにホコリが溜まっていないか、おかしいところはないか?の確認をしましょう。
このように、安全ブレーカーが上がらない場合は、電気の使いすぎか短絡(ショート)、ブレーカの故障が考えられます。大体、電気の使い方で復旧することがほとんどなので、家電の使い方を見直しましょう。
まとめ
ここまで、ブレーカーが上がらない原因と対処法を説明してきました。まとめると以下の通りです。
アンペアブレーカーの場合
- 電気の使いすぎ。使い方の工夫が必要。例えば「エアコンは時間をずらしてつける」など。または、契約電流を上げることを検討。
- ブレーカ自体の故障
- スマートメーターの場合は、電気の使いすぎか、地域での停電。
漏電ブレーカーの場合
- どこかの回路で漏電している可能性。
- 漏電ブレーカーのレバーが中間で止まっている。この場合は、しっかり下まで下げる。
- ブレーカ自体の故障
安全ブレーカーの場合
- 同じ回路の電気を使いすぎてる。使い方の工夫が必要
- 短絡(ショート)を起こした
- ブレーカー自体の故障
このような原因で、ブレーカーが落ちます。また、雷の影響で停電もあります。
ブレーカーの役割が違うことで、原因がある程度特定でき、この知識があるだけで冷静に対処することができます。電気の使いすぎは、ご自身で対応できますね。
電気業者を呼んで、「電気の使いすぎですねー」と言われて終わりでは、あまりにも勿体無い出費だと思うので、知識は大事です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは。